現代のクルマのデザインでは「空力」が非常に重要視されています。空力は空気力学の略称で、空気の流れ方やそれによって発生する力について研究する学問です。
空力の中でも特に大切なのが空気抵抗です。空気抵抗はクルマが進もうとする力を奪います。空気抵抗を小さくすれば、エンジンが生み出した力を空気抵抗に奪われず、結果として燃費や加速性能、最高速が高まります。
空気抵抗は速度の2乗に比例します。最高速が時速400キロに到達するスーパーカー、ブガッティ「ヴェイロン」は時速100キロに達するのにわずか2.5秒しかかかりません。しかし時速200キロだと7.5秒、時速300キロだと16.7秒、時速400キロだと25秒もかかります。加速とブレーキに必要な直線距離11.4kmです。この条件を満たすサーキットは世界で2か所しかありません。
(「地上のコンコルド」という異名を持つヴェインロン・引用元)
400キロまで出すとクルマにとてつもない負担がかかり、タイヤとホイールを交換しなくてはなりません。交換価格はなんと250万円です。日常レベルではそこまで意識しない空気抵抗ですが、極限の世界ではまさに壁として立ちはだかります。
だからこそ空力はスポーツカーやスーパーカーの世界で注目されてきました。しかし、最近は燃費の観点からエコカーでも重視されています。下はクルマの空気抵抗ランキングです。
クルマの空気抵抗(Cd)ランキング
- フォルクスワーゲンXL1(Cd値0.18)
- テスラモデルS(Cd値0.24)
- メルセデスベンツCクラス(Cd値0.24)
- メルセデスベンツSクラス(Cd値0.25)
- トヨタプリウス(Cd値0.25)
注目なのは1位のXL1です。XL1の燃費は驚異の133km/L。空気抵抗を極限まで減らすため、フロントグリルとサイドミラーを排除。リアタイヤはカバーに覆われています。コンセプトカーのような出で立ちですが、ヨーロッパでは25台のXL1が7736ドル(約1885万)で実際に販売されています。
(フォルクスワーゲンXL1・引用元)
ちなみに空力を意識するとクルマのデザインはどれも似通ってきます。5位にランクインしているプリウスもそうですが、最近のクルマはリアデザインがストンを落ちているフォルムが多くなっています。ホンダのインサイト(Cd値0.25)もそうです。
(トヨタプリウス)
(ホンダインサイト・引用元)
このリアデザインだと車体後方で空気の渦が発生せず、クルマが後ろに引っ張られないというメリットがあります。一方で居住性に関して、後部座席の天井が低く窮屈というデメリットもあります。昨今は維持費に関わる燃費がとても重視されるので、この傾向は当分続くでしょう。
コメントを残す