ミニバンという規格を日本に普及させた。それがホンダ「オデッセイ」です。
1990年代「沢山の荷物をもって、家族や友人と、山や湖などにアウトドアにでかける」という新しいレジャースタイルが生まれました。しかし、その頃、収納スペースが広いクルマはみな業者が配達に使うようなワンボックスカーばかりで、乗り心地は考慮されていませんでした。
ミニバンといえば広々とした室内空間と収納性が目的に選ばれるクルマです。今ではあたり前の話ですが、オデッセイはそれを当たり前のものしました。今回はそんな4回のモデルチェンジを経て5代目となった「ホンダ・オデッセイ・アブソリュート」について解説します。
居住空間と走行性能を両立する超低床プラットフォーム
オデッセイの一番の特徴はそれは「超低床プラットフォーム」でしょう。プラットフォームはシャシーとも言われ、エンジンやシートを乗せるその土台なようなものです。これを低くすることで、オデッセイの室内空間は広くなっています。
普通、室内空間を広くするには車高を上げて、バスのような作りにするのが一般的です。前回解説したダイハツ「ウェイク」はその典型です。最近の軽自動車はトールワゴン化することで、限られたサイズの中でより多くの居住スペースを確保しようとしています。
これに対しオデッセイは天井を高くするのではなく、フロア下の燃料タンクを薄くすることで、できるかぎり床を低くしています。二列目ドアのステップ高は30cmと、ノンステップバス並みの低さです。ちなみにアルファードのステップ高は35.5cm、エルグランドは37.5cmと、5cm以上の差があります。
これはもちろん「乗り込みやすい」というメリットがありますが、それ以外にも効果があります。低重心化と空気抵抗の低減により、走行性能や乗り心地がアップしている点です。
スピードスケートの選手はできるかぎり腰をかがめて滑ろうとします。クルマもそれと同じで重心が低いほうが、コーナリング性能や操縦安定性がアップします。
ギラギラしていない洗練された内装
次に高級ミニバンとして重要な内装について見ていきます。ダッシュボードやセンターコンソールは黒を基調としています。上部は上品なソフトパッドパネルに、下部は木目調パネルが採用されていますが、どちらも黒でまとめています。
エアコンは温度設定だけでOKなもちろんフルオートエアコン。しかも、オーディオナビと合わせてどちらも液晶パネルになっています。余計なツマミの凸凹がないことが、一段と洗練な印象を与えています。
ミニバンの高級さというと、若者を意識してか「ギラギラ」としたものになりまがちす。しかしオデッセイは豪華というより、上品と言った感じです。
シルバーも使われていますが縁取りとしてのみで、しかもつや消しが施されています。この辺りはミニバンといっても若者だけではない、大人の需要を意識した作りです。
次にシートです。ミニバンとしてさすがの出来です。特に2列目のシートは傾けると二の足を支えるオッドマンがせりだし、ファーストクラスにいるような気分にさせてくれます。広々とした空間は単なる「容積」で決まるものではありません。天井の形状やピラーの厚みなどか影響します。
この辺りは5代目という長い歴史に培われた経験が生かされている部分です。しかも、そうしたゆったりとした作りでありながら、車内で人が移動するのに十分な余裕があります。これは一度座ったらそこから動くとはない高級セダンとはまた異なる空間となっています。
まとめ
超低床プラットフォームは日本どころか世界にもない技術です。世の中には「アルファード・ハイブリッド・ロイヤルラウンジ」という1000万円超という変わり種もありますが、そうしてものを除けば十分贅沢な作りをしています。
300万円台から変える高級ミニバンとして、オススメの一台です。
 
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